執事の手の怪我は、結局エシャールが手当てしていた。それをやることで、焦る気持ちを必死に落ち着かせているように碧の執政官には見えた。
「で?止めきれなかったのか?」
 救いようのない空気が流れた。エシャールも考え込んだままである。
 一方、漣の都では、アイーシャが甲斐甲斐しくセアラの世話をしていた。
「サンダルを履くのも久しぶりでしょう?これ、旦那様が送ってくださったんですよ。セアラさんにって」
 執事の配下はアイーシャとセアラの姿を室内に認め、微笑んだ。
 海の都の先代執政官の弟は、執政官の右腕として大変有能な人物と称されていた。
「さて叔母上…」
 エシャールの声は少し暗かった。
 出された茶を一口飲み、碧の執政官が言う。
 漣の都の執政官に書状を送るついでに、碧の執政官は聖都にも書状を送っていた。海の執政官家に蒼銀の御曹司が立つことを報せるために。
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