「お兄様がもうすぐいらっしゃるのね?」
 目の前に広がるのは埃っぽい廃屋の一室。
 絶句して立ち尽くすエシャールを見ていたアイーシャが、つかつかとセアラに歩み寄った。
 町外れにある高級宿に、ウィンディアを停めた。中から下男が出て来て手綱をエシャールから受け取る。
 翌朝アイーシャが目覚めると、エシャールはまだ眠っていた。
 かきあげた髪が、開けた窓から入って来る風に靡いてエシャールは少し顔を顰めた。
 エシャールが渡してくれた衣は幾重にも重なった部分があり、アイーシャは初めて着る装束で手間取った。
 漣の執政官屋敷は、都の中心を臨む丘の上にある。
 エシャール達が座るのを待ってから、漣の執政官は座った。
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