エシャールが海の執政官として本格的な政務を始めてから2ヶ月。地方行政府との関係も良好で、海の都の民はエシャールの治世に満足していた。
 エシャールが屋敷に戻ると、セアラが駆け寄って来た。そんな風に育てた覚えはないぞと言いたげに眉根を寄せる兄をものともせず、セアラが言う。
 食堂に入ると、セアラが席に着こうとしているところだった。
 海の都の雲間の街は、海の都で最も聖都に近い場所にあり、海の都の北門を守っている。海の都の民が聖都巡礼のために必ず通る街のため、辺境の街ではあるが、民はそれなりに潤っている。
「レット、誰をやるかの人選はそちに任せる。借款の額については今から執務室で算出する」
 雲間の街の行政官グーテを尾行せよと命じられたロッドは、派遣される仲間よりも先に海神の街を出た。
 男の言葉に笑い声さえあげながら、グーテが続ける。
「旦那様、ロッドより書状が届いております」
 エシャールはすぐに書状の作成に取りかかった。聖都の祖父ではなく、神官庁長官にあてての書状だ。
Copyright ©K's Factory All Rights Reserved.
material by b-cures. template by テンプレート配布 lemon lime