アイーシャの足の治療のために訪れた時より、聖なる泉の街は賑やかな街になっていた。
 屋敷の中は思ったより広かった。セアラに持たせた荷物が入らないようなことにならなければよいがと心配していたが、それはなさそうである。
 居間まで案内されながら、エシャールはいろいろと考えをめぐらせていた。
「セアラの道具類を置く部屋です。ここならセアラの衣装も全て入ると思います」
 その頃、カルナ、アイーシャ、セアラは女同士の話に花を咲かせていた。
「あ、そうだわ。リューラス、お願いがありますの」
「お兄様にあんな風に叱られるなんて、滅多にないのよ、リューラス」
 泉の都に来て3日目に、リューラスの弟妹がようやく揃った。
 よく晴れていた。エシャールとアイーシャの式の時のように、青空が広がった。
 式を終えて、早々と帰り支度を始めたエシャール達をリューラス一家は引き止めたが、「セアラのことが心配いらぬとわかった今は自分の都が心配だ」と言って聖なる泉の街を出た。
 花の月と緑の月は、遊牧民にとって最も狩猟が盛んな時期である。雨の月の前に蓄え、天の月の祭りのために備えるのだ。
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