天上。大神殿の奥の奥。天上の水鏡と呼ばれる大きな池がある。
 大神殿の巫女となるべく育てられたシュレーシア・アイーシャは、天上の水鏡に地上の様子を映し出す力を至上から与えられていた。
 宇宙の宮で暮らすようになってから、シュレーシアはそれまで至上や神々からしか聞いたことのなかった地上の人々のことを見聞きしたがった。
“シュレーシア・アイーシャが地上に転落した理由が判明した”
 シュレーシア・アイーシャが天上へ昇る原因となったのは、神聖な森の池に落ちそうになった皇子をシュレーシアが庇い、代わりに落ちたからなのである。
 至上の住まう大神殿。磨き抜かれた廊下を不機嫌そうに歩いていく至上に、誰もが頭を下げる。至上は誰の挨拶にも反応せず、西の棟の一番奥の部屋に入った。
 扉を後ろ手に閉めた至上は、兄の言葉を何度も頭の中で繰り返した。
 至上の気配が扉の向こうからなくなったことに気付くと、兄は羽筆を置いた。召使いが頃合いを見計らうようにして茶を持ってくる。
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