花の月も終わりに近づく頃、聖都のゲディスが病に倒れたという報せが海の執政官家にもたらされた。
 外庭の椅子は、エシャールが再びこの屋敷に戻って来た時に新しく造らせたものだ。幼い時よりも庭で考え事をする回数が増えたため、ゼニスがいつの間にか手配してくれていたのである。
 長椅子に腰掛けたアイーシャの膝に、エシャールは頭をのせた。降るような星空の下、ただ波の音に耳を澄ます。
「まだセルディアスとマデレーナが生まれて間もない頃…夢をみたんだ…」
 レットに後を託し、エシャール一家はゼニスを伴って聖都へ向かった。
 至上御光臨の間で、天帝は上空を見上げていた。
 ゲディスの屋敷に到着したエシャール達は、早速祖父を見舞っていた。

 エシャールの溜息が聞こえて、ゼニスが心配そうに覗き込む。

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