エシャールが天帝となって随分な時が流れた。天上から見守るカイゼルディアの心配も、少しずつ減ってきている。
 新しい天帝が即位した報せは、果ての大地にも届いた。恩赦や特赦があるのではないかと微かな望みを抱いた罪人もいたが、いつまでたっても朗報は齎されなかった。
「あなた、若君の姿が見えないのですけど。こちらに来ていませんこと?」
 海の都と碧の都は、相変わらず友好関係を保っていた。グロリアシーゼルがレオニードを父のように慕い、レオニードもまたグロリアシーゼルを我が子のように思い、接している。
 ナデューラが碧の都に行くことが決まり、しばらくはマデレーナ・アイーシャがナデューラの傍にいることになった。アイーシャが一緒に行っては波風が立つと、グロリアシーゼルが判断したのである。
 とにかく今日のところは帰りなさいとマデレーナを執政官屋敷まで送りとどけ、ソラは執政府の寮に戻った。
 マデレーナから、ナデューラとの会話を聞いたソラは、話の途中何度も頷いた。
 出鼻を挫かれたソラだったが、グロリアシーゼルから反対されることは承知の上だった。いきなり言われるとは思わなかったので多少は怯んだが、決してそこで引き下がりはしなかった。
 聖都・蒼の都に聳える宇宙の宮。
 正門を潜った海の執政官家御曹司セルディアスは、その荘厳さに言葉を失っていた。
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