空の都を出たエシャール達は、急かされぬゆったりとした旅を続けていた。
 小奇麗な身なりはしているが、悪人面だとエシャールはいつも思う。この宿に来たときに
渡した金に頭を下げているだけなのだ。
 翌朝、エシャールが突然出発すると言い出した。
 それから間もなく水の都に入ったふたりは、市場に近い空き家を見つけた。
 新年を祝う花火があがる。エシャールとアイーシャは屋根にあがって花火を見ていた。
 花火はまだあがっている。しばらく黙っていたアイーシャは、また話し出した。
 屋根の上でキスしてから数日。ふたりの間には何も起きていない。今までと
変わらない日々である。
 それ以上のことを、お互いに望んでいないのだ。
「エシャールさん、この荷で最後です」
 荷下ろしまで済ませて表に回ると、ちょうどアイーシャが野菜を買っている
ところだった。
 水の都に来て、半年が過ぎた。毎日変わらぬ平和な日々である。エシャールは
市場の人々から一目置かれる立場になっており、以前よりも忙しく働いている。
Copyright ©K's Factory All Rights Reserved.
material by b-cures. template by テンプレート配布 lemon lime