隣には、上機嫌な母。ジュリアスは口許に微笑を浮かべて車に揺られていた。
 セイジェル家の別荘は帝都から車で1時間半ほどの湖畔にある。帝都からあまり離れていないこともあり、手近な別荘地として貴族達には人気の場所だ。
 クレスティアとの夕食を済ませたジュリアスは、寝室のテラスで煙草を燻らせていた。母の前では絶対に吸わないようにしている。
 翌朝、よく晴れた空の下を散歩していると、クレスティアがジュリアスの袖を引いた。
「あの子はあんな風に言ってくれたけれど…。父を残していくことは、私にはできない気がするの。父も寂しい人なのよ。退役してからはめっきり老け込んでしまって。昔ほど、ジュリアスにきついことは言わなくなったし…」
 俯いていたクレスティアは、ゆっくりとゲノアの方を見た。
 苛々としながら部屋で煙草を吸っていたジュリアスだったが、玄関が騒がしくなったので母が帰って来たのだと思い、下におりた。
 ジュリアス、クレスティア、ゲノアの3人の夕食が始まった。ジュリアスは憮然としたままワインを飲んでいるが、クレスティアはそれを咎めようとはしなかった。
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