ディーン・ゲノアは困り果てていた。ジュリアスとのせっかくの会談が物別れに終わったばかりか、本当に彼が海軍に戻ることが上の方で決まったとわかったのである。
 対センティア王国戦の特別休暇も終わり、第一師団は訓練を再開した。
「セイジェル中将です。よろしいでしょうか」
 答えないゴルデンの様子に、ジュリアスはこのくらいにしておいてやるかと足を組んだ。せっかく火をつけた煙草は、灰皿の中で大半が灰になってしまっていた。
 皇宮は、戦功を挙げる度に一度は行かされる場所という感覚しかない。
 皇帝はジュリアスの返答に頷き、グレイスを呼んだ。わざわざ、席を立って。よほどグレイスが愛しいと見える。娘を持つ父親とはこういうものであるのかと…アドラールを思い浮かべた。
「ごめんなさい、時間がかかってしまって…」
 グレイスはジュリアスに身体をまっすぐに向けて話し始めた。ジュリアスは足を組んだまま、その様子を見ている。
「皇女殿下を特別扱いしているのは、ご自分ではないのですか?」
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