湯浴みを終えたエシャールが部屋に戻ってくると、先に湯浴みをしたアイーシャが
髪を乾かし終えたところだった。
 本当に剣を握って振り回せるのかと思うほどに白く繊細な指が、アイーシャの肌を
滑った。優しく、そっと。アイーシャが怯えぬように。
 エシャールがようやく触れた泉は、やっと彼の指の侵入を許可した。エシャールは
中指をゆっくりと埋めていった。
 初めての夜を過ごした翌朝。
 アイーシャは最愛の人の腕の中で目を覚ました。
 結局昨日の食堂で朝食を済ませたふたりは、ウィンディアで街に向かった。
 衣を新調して、いつもよりも華やかな姿になったアイーシャを連れて、エシャールは
指輪を探しに宝飾品を並べている通りに入った。
「では犯人は捕えられておらぬのか?」
 帰り道。指輪の入った小さな箱を大切そうに抱えたアイーシャを見ていた
エシャールは、ふと思い立ってウィンディアの手綱を引いた。
「なぁ、アイーシャ」
 しばらく黙って夕暮れを見ていたエシャールが突然口を開いた。
 暦は、緑(りょく)の月に変わっていた。
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