雨の月。
 この世に生あるものすべてに水の恵みを与えよ、という天帝の思いから生まれた
この月は、普段よりも雨の日が多くなる。
 執政官の態度から察したのか、妻は彼の肩に手を置いた。
 結局捜査は打ち切られた。碧の執政官としてはまだまだ探りきれてはいなかったが、
いつまでも海の都の問題にかまけているわけにもいかなかったのである。
『確かに少女はお預かりしています。少女の兄上から。しかし…』
『その、隠れ家から出てきた青年は何か持っていませんでしたか?』
 海の執政官家御曹司を探しだし、亡き執政官の仇を討ちたい執政官家元執事は、
碧の都の執政官からの知らせを受けて泉の都を目指していた。
 あれは、初めて御曹司が聖都に行くことを許された時のことだった。
「頭、そろそろ泉の都に入りますが」
 手下達は街の中で情報を集めていた。頭が元は海の執政官家の執事であることを
わかっている彼等は、何とか頭のために御曹司を探そうと必死だった。
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