離宮近くに設けられている陸軍の詰所に到着すると、ジュリアス達はまっすぐに一番奥の部屋に向かった。
「見回りってのは本当だ。決して皇女殿下を狙って何かしていたわけじゃない」
 男はジュリアスに対してぞんざいな口調のままで白状し始めた。
 陸軍詰所から、セイジェル家まで車でそんなにかからない。帝都大通りを抜けて、瀟酒な貴族屋敷が立ち並ぶ一角に、その広大な屋敷はある。
 書斎に入るのは、実は初めてである。場所はもちろん知っていたが、アドラールのテリトリーである書斎は、決して踏み入れてはならない場所だった。
「セイジェル侯。本をお返しに参りましたわ」
 ジュリアスは拳を震わせていた。どこにも向けられない怒りと、やるせなさ。
「物心ついた時には、あなたは私の敵でした…」
 ロイドに連れ出されたグレイスは、応接室に通されていた。ジュリアスの顔を見るまでは帰らないと言い張ったからである。
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