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2005.11.04
蒼の都の物語・12
空の都を出たエシャール達は、急かされぬゆったりとした旅を続けていた。
雪に閉ざされるのは空の都くらいのもので、峠を越えればそこまで雪は
積もらないのである。
峠を越えてすぐの宿場町にふたりが辿り着いたのは三日ほど前。多めに金を
渡して、長逗留を決め込んでいる。
「エシャール、夕飯きてるよ?」
他の客と違って、部屋まで運ばせている。金さえ渡せば、何とでもなるものだ。
「あと半月もすれば新の月か。新年までは空の都にいるつもりだったんだがな」
窓辺で景色を見ていたエシャールが呟く。その言葉にアイーシャの表情が
みるみるうちに沈んでいった。
「ごめんなさいエシャール、アタシのせいで…」
「い、いや、いいんだ。気にしないで。今のは私の失言だ。忘れてくれ」
慌てて取り消して、アイーシャの髪を撫でる。
空の都を出てからというもの、アイーシャは元気がない。エシャールに申し訳ない
という気持ちが、アイーシャから笑顔さえ奪ってしまっているのだ。エシャールも
もちろんそれに気付いてはいるのだが、それを口に出すと尚更アイーシャが頑なに
なりそうで、言えないでいる。
「とにかく食事にしよう。後で市場にでも行ってみようか」
「…うん」
どうすればアイーシャは笑顔を浮かべてくれるのか。エシャールはアイーシャに
わからぬように溜息をそっとついた。
「お客様」
空気が重くなりかけたところに、宿屋の主人が扉をノックして入ってきた。
積もらないのである。
峠を越えてすぐの宿場町にふたりが辿り着いたのは三日ほど前。多めに金を
渡して、長逗留を決め込んでいる。
「エシャール、夕飯きてるよ?」
他の客と違って、部屋まで運ばせている。金さえ渡せば、何とでもなるものだ。
「あと半月もすれば新の月か。新年までは空の都にいるつもりだったんだがな」
窓辺で景色を見ていたエシャールが呟く。その言葉にアイーシャの表情が
みるみるうちに沈んでいった。
「ごめんなさいエシャール、アタシのせいで…」
「い、いや、いいんだ。気にしないで。今のは私の失言だ。忘れてくれ」
慌てて取り消して、アイーシャの髪を撫でる。
空の都を出てからというもの、アイーシャは元気がない。エシャールに申し訳ない
という気持ちが、アイーシャから笑顔さえ奪ってしまっているのだ。エシャールも
もちろんそれに気付いてはいるのだが、それを口に出すと尚更アイーシャが頑なに
なりそうで、言えないでいる。
「とにかく食事にしよう。後で市場にでも行ってみようか」
「…うん」
どうすればアイーシャは笑顔を浮かべてくれるのか。エシャールはアイーシャに
わからぬように溜息をそっとついた。
「お客様」
空気が重くなりかけたところに、宿屋の主人が扉をノックして入ってきた。
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