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2006.05.01
蒼の都の物語・211
漣の執政官家の執事・ハワークを連れて海神の街に戻ったニールは、緊張の面持ちで執務室の前に立った。
これまでエシャールと直接言葉を交わすことがほとんどなかった上に、今回はセアラの件の報告もあるのだ。緊張しないわけがなかった。
「執政官様、ニールが戻りました。ハワーク殿を連れております」
レットが言うと、エシャールは窓辺に立ったままで頷いた。
「よろしゅうございますか。…ニール、入れ」
「は、はいっ」
扉を開けて顔を上げると、悠然と笑みを浮かべるエシャールに圧倒される。彼はどんどん執政官らしくなっていくようだ。
「執政官様。ただいま戻りました」
「ご苦労。報告は後で聞く。…レット、じいも連れてハワークと執政府の牢に行ってくれ。私は同席せぬ方がいいだろう。…ハワーク、私にあのように言った以上、ルベールから真相を聞き出せよ」
「も、もちろんでございます。必ずや、ご期待に添えますように」
「では参りましょうか」
レットがハワークを伴って執務室を出ようとしたところで、エシャールの声が追いかけた。
「くれぐれも漣の執政官殿を落胆させる結果にならぬようにな」
ハワークの身体が一瞬強張ったが、彼はただ頷くだけで執務室を出て行った。
「執政官様…?」
「…フン。ルベールを助けたがっているようだったからな、釘を刺しただけだ。さすがに漣の執政官の顔に泥を塗るわけにはいくまい」
エシャールはようやく椅子に座り、ニールを前に立たせた。
「さて。報告を聞こうか。検証は進んでいるのか」
「は、はい。あの時廃屋に転がっていた死体は全部で17だったそうです。盗賊団全員ということでよろしいしょうか」
「17…。間違いあるまい。私の記憶が確かならば、全員だ。すべて一撃で仕留めたように覚えている。まぁ、頭領だけは切り刻んだように思うがな…」
エシャールの薄笑いにニールは背筋が凍った。
「私の剣を隠し持っていてくれたおかげで、助かったのだがな。何でまた大叔父に偽物を渡したのやら。今となってはわからぬが、まぁあの時は家族の仇を討つ方が先だったゆえ、何も考えなかったな。本当はあの時問い質していれば、もっと早く片付いていたかもしれぬ」
「皆殺しだけでも十分すごいと思いますが…」
エシャールは鼻で笑った。
「すごくはない。適度に腕があればあの程度大したことはないからな」
「執政官様…」
「その話はよい。詳しい検証の報告は、ディンが戻ったら聞く。…セアラの様子は見て来たか?」
ニールの身体が強ばった。
「執政官様、ニールが戻りました。ハワーク殿を連れております」
レットが言うと、エシャールは窓辺に立ったままで頷いた。
「よろしゅうございますか。…ニール、入れ」
「は、はいっ」
扉を開けて顔を上げると、悠然と笑みを浮かべるエシャールに圧倒される。彼はどんどん執政官らしくなっていくようだ。
「執政官様。ただいま戻りました」
「ご苦労。報告は後で聞く。…レット、じいも連れてハワークと執政府の牢に行ってくれ。私は同席せぬ方がいいだろう。…ハワーク、私にあのように言った以上、ルベールから真相を聞き出せよ」
「も、もちろんでございます。必ずや、ご期待に添えますように」
「では参りましょうか」
レットがハワークを伴って執務室を出ようとしたところで、エシャールの声が追いかけた。
「くれぐれも漣の執政官殿を落胆させる結果にならぬようにな」
ハワークの身体が一瞬強張ったが、彼はただ頷くだけで執務室を出て行った。
「執政官様…?」
「…フン。ルベールを助けたがっているようだったからな、釘を刺しただけだ。さすがに漣の執政官の顔に泥を塗るわけにはいくまい」
エシャールはようやく椅子に座り、ニールを前に立たせた。
「さて。報告を聞こうか。検証は進んでいるのか」
「は、はい。あの時廃屋に転がっていた死体は全部で17だったそうです。盗賊団全員ということでよろしいしょうか」
「17…。間違いあるまい。私の記憶が確かならば、全員だ。すべて一撃で仕留めたように覚えている。まぁ、頭領だけは切り刻んだように思うがな…」
エシャールの薄笑いにニールは背筋が凍った。
「私の剣を隠し持っていてくれたおかげで、助かったのだがな。何でまた大叔父に偽物を渡したのやら。今となってはわからぬが、まぁあの時は家族の仇を討つ方が先だったゆえ、何も考えなかったな。本当はあの時問い質していれば、もっと早く片付いていたかもしれぬ」
「皆殺しだけでも十分すごいと思いますが…」
エシャールは鼻で笑った。
「すごくはない。適度に腕があればあの程度大したことはないからな」
「執政官様…」
「その話はよい。詳しい検証の報告は、ディンが戻ったら聞く。…セアラの様子は見て来たか?」
ニールの身体が強ばった。
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