新年を祝う花火を、ふたりは今年も屋根の上で眺めていた。
「また一緒に花火見れたね、エシャール」
「そうだな」
 去年と違うのは、幼いだけの少女ではないということ。そしてお互いが愛し合って
いるとわかっていること。
 エシャールはもう定番になってしまった体勢で、アイーシャを背後から抱きしめている。
アイーシャもそれが安心できるのか、エシャールに寄りかかってうっとりと花火を
見上げていた。
「ねぇ、エシャール」
「うん?」
「アタシ、ちょっと大人になったでしょ?」
 大人になった。確かに。毎晩寝顔を見るのが辛いと感じそうになるほどに。
「どこが?」
 それでも本音は言わない。それにはまだ早いから。
「見た目とか…いろんなとこ」
 エシャールは少し頬を赤らめて俯いているアイーシャを包み込むように優しく
抱きしめて、答えた。
「お前は最初から大人だったよ、心は。行動力も、私が苦笑するほどあったよな…」
 確かに空の都にいた頃から、エシャールは並みの子どもではそうはいくまいと、
よく苦笑していた気がする。
「でもそうだな…一番大人になったと思うところは、キスが上手になったことだな」
 毎晩寝る前になると、アイーシャがエシャールの首に抱きついて甘える。エシャールは
そんなアイーシャを優しく抱き上げながら甘い口づけを与えて、寝台に横たえるという
毎日が続いているのである。
 必死に求めてくる手を、払いのける理由はない。むしろその手を求めていたのは、
自分の方なのだ。抱きついたままで眠りにつくアイーシャを見守りながら、いつも
エシャールは笑顔を浮かべる。
「もう!エシャールったら!」
 真っ赤になって振り返ったアイーシャに、エシャールは笑って口づけた。
 ふたりの頭上で、花火がいつまでもあがっていた。
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