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2007.10.07
眠れない夜を紡いで・125
まだ、動けないか…。
窓の外を見ることも叶わない状態で、ジュリアスはほとほと入院生活に飽きていた。せめて足が動いたら、屋上で煙草を吸うことくらいできるのだろうに。
「ジュリアス様、起きていらっしゃる?」
「…はあ」
加えて皇女グレイス・マデリーンの来訪。最近溜息が増えた気がする。クレスティアがドアを開けるとグレイスがにこにこと笑いながら入ってきてクレスティアに花を渡す。
「新しいものが入りましたのよ。ジュリアス様に一番に飲んでいただきたくて」
「…ほう…」
グレイスが相手でも決して態度を変えることはしない。そこは以前のジュリアスと何も変わらないと思えて、グレイスには嬉しい。
「皇帝家の直轄農園で収穫しましたの。召し上がれ」
差し出されたカップから香るその芳香に、ジュリアスは目を閉じた。
「…これは…貴族でも一部にしか流通しない…“帝冠の輝き”では…?」
「ええ、ご明答。さすがジュリアス様ですわね」
「私も年に一度飲めるかどうかなので…。おや…?“帝冠の輝き”の収穫は…秋の最初の長雨の直前ではなかったか…?私は…一体どのくらい眠り続けていたんだ??」
共和国戦は春先の戦争だった。それから半年も自分は眠り続けていたというのか?
「そんなはずはない…。私は…?」
「じ、ジュリアス様…?」
狼狽するグレイスの横を擦り抜けて、クレスティアがジュリアスに駆け寄って抱きしめる。
「皇女殿下、今ははずしてくださいませ。お早く」
「で、でも…」
「ジュリアスを想って下さるなら、お早く!!」
「は、はい…」
グレイスを去らせて、クレスティアは腕の中のジュリアスに目をやる。その青ざめた顔が痛々しい。
「ジュリアス…?」
「…母様…私は…眠り続けていたわけではありませんね…?あの共和国戦の後、別の戦争があったのでは…」
「ジュリアス!余計なことは考えなくていいわ。今は怪我を治すことだけを考えてちょうだい」
蘇る、海に落ちた時の記憶。叫んでいるのは、一体誰だ…?暗闇と、静けさと…。
「頭が…痛い…」
「ジュリアス!!」
波の音が聞こえる。身体中がバラバラになる感覚。一瞬にして冷えきった暗闇に落とされた気分。ここは、どこだ…。
「ジュリアス様、起きていらっしゃる?」
「…はあ」
加えて皇女グレイス・マデリーンの来訪。最近溜息が増えた気がする。クレスティアがドアを開けるとグレイスがにこにこと笑いながら入ってきてクレスティアに花を渡す。
「新しいものが入りましたのよ。ジュリアス様に一番に飲んでいただきたくて」
「…ほう…」
グレイスが相手でも決して態度を変えることはしない。そこは以前のジュリアスと何も変わらないと思えて、グレイスには嬉しい。
「皇帝家の直轄農園で収穫しましたの。召し上がれ」
差し出されたカップから香るその芳香に、ジュリアスは目を閉じた。
「…これは…貴族でも一部にしか流通しない…“帝冠の輝き”では…?」
「ええ、ご明答。さすがジュリアス様ですわね」
「私も年に一度飲めるかどうかなので…。おや…?“帝冠の輝き”の収穫は…秋の最初の長雨の直前ではなかったか…?私は…一体どのくらい眠り続けていたんだ??」
共和国戦は春先の戦争だった。それから半年も自分は眠り続けていたというのか?
「そんなはずはない…。私は…?」
「じ、ジュリアス様…?」
狼狽するグレイスの横を擦り抜けて、クレスティアがジュリアスに駆け寄って抱きしめる。
「皇女殿下、今ははずしてくださいませ。お早く」
「で、でも…」
「ジュリアスを想って下さるなら、お早く!!」
「は、はい…」
グレイスを去らせて、クレスティアは腕の中のジュリアスに目をやる。その青ざめた顔が痛々しい。
「ジュリアス…?」
「…母様…私は…眠り続けていたわけではありませんね…?あの共和国戦の後、別の戦争があったのでは…」
「ジュリアス!余計なことは考えなくていいわ。今は怪我を治すことだけを考えてちょうだい」
蘇る、海に落ちた時の記憶。叫んでいるのは、一体誰だ…?暗闇と、静けさと…。
「頭が…痛い…」
「ジュリアス!!」
波の音が聞こえる。身体中がバラバラになる感覚。一瞬にして冷えきった暗闇に落とされた気分。ここは、どこだ…。
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