また厄介なことをしてしまったと、エシャールは後悔していた。
 粗方支度もできたところで、エシャールはレイアが枕にしていた切り株を
軽く蹴った。
 アイーシャを守るために体勢を立て直そうとした次の瞬間、エシャールの左足に
激痛が走った。
 レイアはエシャールの表情など気にもせずに、アイーシャの寝台に近づいた。
「もうずっと民の前にはおいでにはならなかったんですけど、今度の新年に
 もしかしたら宮殿のテラスにおいでになるかもしれないんですって」
 部屋の外で、エシャールの心の叫びを聞いていたレイアの父が、ゆっくりと
入ってきた。
 聖都。
 天帝が暮らす、この世で最も神聖なる都である。
 一日のほとんどを部屋で過ごすエシャールは、窓辺に腰掛けて外を見ることが
多くなった。
 碧の都の執政官家の一人娘・レイアはこの数日、稽古事が手につかない。
 レイアがエシャール達の部屋に入ろうとすると、エシャールの声が聞こえてきた。
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